[CML 000680] J-Flash130: 米比の軍事協力体制:「テロとの闘い」の良い手本?

ピープルズ・プラン研究所 muto at jca.apc.org
2009年 7月 15日 (水) 15:02:32 JST


ーー【APA‐Jフラッシュ No.130】ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 
経済がひっぱくしようとも「財源があるのか?」と問われることも無く、軍事
機密で使途も問われない、軍ほどお手盛りでご都合主義の国家組織はない?!
こっそりと目立たない軍事協力が上手くいっているという米比。
米日関係も、「持ち込ませず密約」で、国民は最初から裏切られていた。民主
党鳩山代表の「必要性があったから、現実的な対応がなされてきた側面がある」
という「非核三原則」見直し示唆発言は、政権を目前のタイミング。 (M)
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米比の軍事協力体制:「テロとの闘い」の良い手本?
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──米国は、武装組織アブサヤフとの闘いにおいてみずからの存在を目立たせ
ないようにすることで、この軍事行動がフィリピン社会に受け入れられること
を容易にしてきた。ゲイツ米国防長官は、米国の国防長官の訪問が10年ぶり
となったフィリピンでこの戦略をあらためて支持した。
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この、フィリピンにおけるアメリカの小さな作戦は、ほとんど注目を集めてい
ない。しかし国防総省幹部は、武装組織のアジトを減らすうえでその効果には
目を見張るものがあるという。そしてそれは、パキスタンなど他の国々との軍
事協力においても良い手本になる可能性がある。

パキスタンは、米軍の存在が目につくことへの社会的反発に配慮して、70人
余りの軍事アドバイザーの入国を許可することに二の足を踏んでいる。そうし
たなか、フィリピンで成功した「控えめにして受け入れさせる」手法は、パキ
スタン軍との軍事協力強化に熱心な米国高官にとっても学ぶべき点があるだろ
う。

米国防長官の訪問が10年ぶりとなったフィリピンで、ロバート・M・ゲイツ
長官は6月2日、フィリピンのジルベルト・テオドラ・ジュニア国防大臣と会
談。「この10年間、フィリピンは国家安全保障に関わる数々の問題に真正面
から取り組んできた。フィリピンの国と地域を脅かすテロリストや過激派を敗
北させるための同国の努力を、米国は引きつづき支援してゆく」と述べた。

ゲイツ長官はまた、第二次大戦中に戦死した米兵1万7202名が埋葬され、
3万6285名の行方不明者の記念碑のあるマニラ米軍墓地を訪れた。

現在マニラには約600人の米兵が駐留し、フィリピン軍の司令官とその部下
たちへの助言・指導を通じて、駐留規模としては小規模ながら、主要イスラム
武装組織であるアブサヤフの影響力を減少させることに成功している。

かつての植民地支配者であるアメリカは、多くのフィリピン人に米軍の大規模
な駐留に対する警戒心を今でも抱かせる。しかし、米比特別合同演習で機動部
隊司令官を務めるウィリアム・クールトラップ陸軍大佐によれば、現在アメリ
カ側は経験、リソース、情報を提供しているが、作戦を主導するのはフィリピ
ン側だという。「この合同演習から学べる主なポイントのひとつは、同盟国と
肩を並べ、協力し、かれらを通じて作戦を展開することであり」、「現場の問
題を掌握するのはかれらである」と大佐は言う。

パキスタン同様、フィリピンも大規模な米国駐留軍が自国領土で作戦を展開す
ることを警戒してきたのだが、現在駐留中の米国軍の活動は訓練が中心であり、
直接的な軍事行動はとらない。特殊作戦部隊の兵士は通常は前線には参加せず、
フィリピン国軍の司令官や下士官に助言や訓練を行っている。

フィリピンで以前軍務に就いていた米軍将校たちは、同国をイラク、アフガニ
スタン、パキスタンと同列に比較するのは難しいとしているが、一方で学ぶべ
き共通点があることも認めている。

パキスタンへの介入を拡大するうえで、フィリピンでの活動のどんな面が生か
せるかと聞かれたゲイツ長官は、軍事協力にあたってはどんな相手国の内政に
も敏感でなければならない、と答え「さまざまな相手国のペースに合わせて進
めることだ。このような関係が築かれる土台が強固であればあるほど、関係は
長続きし、効果をあげる可能性が高い」と付け加えた。

フィリピンで合同作戦が始まった2002年、米国はミンダナオ島とスールー
諸島の一部を含むフィリピン南部を政府の統治の及ばない地帯とみなしていた。
アブサヤフはアルカイダと結び、この地域で西側の標的を攻撃する訓練をして
いた。

ある米軍当局者によれば、当時のフィリピン国軍はアブサヤフの侵攻に反撃す
るにはあまりにぜい弱だったが、7年以上に及ぶ訓練を経て十分な力をつけた。
「かつては決して出来が良いとは言えなかったが、今や我々の助けなしで多く
の軍事作戦を実施している」とこの人物は語る。

少数のアメリカ軍なら、フィリピン社会がその軍事行動をおおむね受け入れる
ことがはっきりした。これまでの努力は実を結び、米政府幹部が南部を無政府
地帯とみなすこともなくなっている。

「国際テロ組織の脅威は低減している。人質事件、テロリスト、テロ攻撃、い
ずれも減少している」とある国防総省高官は言った。
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出典:世界反基地ネットワークML(2009年6月2日)
翻訳協力:四季(APA‐J翻訳チーム)
翻訳チェック:タンノワ 監修:APA‐Jデスクチーム
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