[CML 000657] アトミックサンシャイン沖縄展シンポと霊感商法の挟撃
maeda akira
maeda at zokei.ac.jp
2009年 7月 13日 (月) 13:07:46 JST
前田 朗です。
7月13日
あちこちのウェブサイトに「緊急アートアクション アトミックサンシャイン沖
縄展の検閲に抗議する美術展」が掲載されています。例えば
http://sites.google.com/site/artaction2009/artaction2009intro
7月18日には日本教育会館において下記のシンポジウムが行われます。私は都
合がつかなくて参加できないのが残念。
シンポジウム 「アトミックサンシャイン」沖縄展の検閲に抗議する!
―「09沖縄・九条・天皇・検閲・表現をめぐって」―(仮称)
7月18日(土)14:00〜20:00 日本教育会館
第一部 午後2時から5時 「沖縄・9条・天皇・検閲・表現をめぐって」
鵜飼哲(一橋大学)、大浦信行(美術家、映画監督)、徐京植(作家・東京経済
大学)、白川昌生(美術家)、針生一郎(文芸美術評論家)、毛利嘉孝(社会学者)
第二部 午後5時半から8時半 「沖縄ーアトミックサンシャイン展を検証する」
太田昌国(編集者)、小倉利丸(富山大学)、仲里効(批評家)、比嘉豊光(写
真家)、宮田徹也(日本近代美術史研究)
さて、ここに文藝美術評論家の針生一郎さんの名前が登場しています。「行動す
る評論家」にして日本美術評論家連盟会長です。「アトミックサンシャイン」の
大浦信行さん監督『日本心中』のサイトには次のように紹介されています。素晴
らしい経歴です。
http://www.nihonshinju.com/archives/2006/08/post_12html
針生一郎さんは、他方で、霊感商法で知られる宗教団体との関係を批判されてい
ます。日夏露彦「腑抜け美術界――国家主義と市場主義の挟撃」『社会評論』
158号(2009年7月、小川町企画編集)には「美術評論界トップの堕落」
という小見出しで、次のように書かれています。
「美術評論家には自主的な世界組織として国際美術評論家連盟があり、わが国は
その支部として約一五〇名の会員を擁し、筆者もそのひとりだ。その会長針生一
郎が横浜パシフィコ国際展示場で開かれた『第三回世界平和美術祭典』の実行委
員長となっていた。大方の関係者から見れば直ちにいかがわしいものとわかるの
だが、手をかえ品をかえ霊感商法で市民を瞞着し、訴訟沙汰のあとをたたない巨
大新興宗教による資金稼ぎだったのである。・・・(中略)・・・/戦後美術界
をリードする批評世界の大立者のひとりとされ、カリスマ性すら帯びていた人間
が、統一原理やメシア再臨などを謳い、その実反共主義を隠し持ち全国の多くの
大学生をも洗脳した極右宗教集団に、なにゆえ手を貸すことになったのか。よほ
どの名利があるのか。明聞からいえば、これほど汚し、信を失うことはないだろ
う。」(56〜57頁)。
「この信じ難い言動から見えてくるのは、美術批評という分野がその代表的人物
からしていかに弛緩しているか、ということだろう。昨秋の連盟総会でこの点は
筆者によって発言されたが、聞き流されたままだった。平和や国際を口にすれ
ば、淫祠邪教もどきの宗教集団の資金稼ぎにも手を貸す。実際、八月同時期に丸
木美術館の『平和美術展』が開催されており、不審に思った関係者が問い質した
ところ、平和といっているからいいではないか、と答えたという。批評精神を捨
てたとしかいいようのない言い分。/矛盾する左と右のどちらも正しいとする。
前衛や創造の自由を認めない側を同時に肩入れするとは、自家撞着も甚だしい。
地金が出たとしかいいえない言動。」(57頁)。
私はここで美術評論に口を出すつもりはありませんが、次のことは述べておきます。
上記シンポジウムに名前を連ねた鵜飼哲さん、徐京植さん、太田昌国さん、小倉
利丸さんたち(他の人とはまったく面識がないので省略)は、針生一郎さんに、
事実をきっちり「問い質す」のか、席を同じくして批判的に切り結ぶのか、それ
とも、日夏露彦さんの指摘を「聞き流して」しまうのでしょうか。「いや、アト
ミックサンシャイン沖縄展の話だけをするのだから、他のことは関係ない」と嘯
くのでしょうか。果たして彼らは、かねてからの自分の思想や言動に相応しい態
度を示せるのでしょうか。それとも、そんなことはないとは思いますが、「地金
が出てしまう」のでしょうか。
とても気になりますが、18日、私は横須賀で「在日朝鮮人歴史・人権週間」集
会に出ているため、このシンポに参加できません。
どなたか「アトミックサンシャイン」シンポを取材・報告していただけると幸です。
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