[CML 000635] 【声明文】「入管法」「入管特例法」「住基法」改定案の成立に抗議する声明を出しました

Kang Hwangbum hwangbum03 at ybb.ne.jp
2009年 7月 10日 (金) 19:33:00 JST


※複数のMLに配信しております。重複する方にはご容赦願います。

在日コリアン青年連合(KEY)の姜晃範と申します。
皆様ご存知の通り、7月8日に在日外国人を対象とした新たな在留管理制度を導入するための「出入国管理及び難民認定法」(入管法)及び、「日本との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」(入管特例法)、「住民基本台帳法」の改定案が参院本会議で可決され、成立しました。

この間、KEYでは、この法案成立に危機感を抱き、反対の取り組みを進めてまいりましたが、残念ながら成立するに至りました。

このことを受け、本日10日付けで抗議声明文を発表しました。
声明文は、法務大臣、総務大臣及び、法案に賛成した各政党、マスコミ各社に送付しております。

下記ホームページにも掲載しております。ご参照下さい。
http://www.key-j.org/program/doc/stmt_nyukanhou_090710.html


<以下、声明文>========================================================
【KEY声明】「入管法」・「入管特例法」・「住基法」改定案の成立に強く抗議する

去る7月8日、在日外国人を対象とした新たな在留管理制度を導入するための「出入国管理及び難民認定法」(入管法)及び、「日本との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」(入管特例法)、「住民基本台帳法」の改定案が参院本会議で可決され、成立した。われわれはこの間、外国籍者に過剰な義務を課すこの法改定に対して当事者として一貫して反対してきたが、結局管理強化という根本は変わらずに法案が成立したことに大きな憤りをもって抗議する。さらに、外国人施策の大きな転換を意味する大変重要なこの法案について、成立に危機感を抱く外国人当事者、マイノリティや外国籍の人権保障を求める市民・NGOの度重なる訴えにも関わらず、国会における審議は全く不十分且つ、外国籍者の意見聴取の場はおろか、情報提供すら十分になされなかった。また今回の法案が衆参両院で可決された際に、施行において格段の配慮をすべきとする附帯決議が10項目以上もついた。このことは、この法案に外国人の人権を侵害する重大な危険性があることを立法府自体が認めていることの証左だろう。このようなずさんな法案が性急に成立に至ったことにあらためて強く抗議する。

法改定の理由の一つとして挙げられている「外国人の利便性を向上させる」との説明は全く本質ではない。日本に在留する外国人のあらゆる個人情報が入管行政に一元化され、地方自治における住民サービスのための基礎的な制度も入管体制に従属させることで、政府当局がいっそう容易に外国人をオペレーションできるようにすることが核心なのである。外国人登録法(外登法)は廃止となることがメディアで報じられているが、外登法が持つ差別的な在留管理機能がなくなるわけでは決してなく、逆に管理機能が強化される形で入管法に移行されるだけである。
この新たな在留管理制度は、在日外国人の居住実態や生活実態に対する想像力を欠いており、そこに投影される外国人像は、ともに暮らす生活者・隣人ではなく、あくまでも管理・監視・排除の対象でしかない。そこには権利主体としての外国人という視点は皆無である。したがって今回の法改定が、今後外国人に対する新たな蔑視感と敵対感情を生み出し、社会的偏見を助長させる制度として機能するのではないかと、われわれは強い憂慮を示さざるを得ない。

今回の法改定により、在日コリアンがほとんどを占める特別永住者に交付される「特別永住者証明書」の常時携帯義務が廃止され、また新たに「みなし再入国許可」制度が導入された。しかしながらこれを一定の前進だとする言説にわれわれは与しない。「良い」外国人、「悪い」外国人を選別・階層化する、外国人の分断管理が進められようとする中で、すべての外国人が居住する地域でその一員として生きていくことができる多民族多文化共生社会をどのように紡ぎだしていくのか、われわれ自身がよって立つポジションがまさに問われているからである。また実際に「みなし再入国許可」については、朝鮮籍を持つ在日コリアンをあからさまに排除したという重大な問題があり、在日コリアン社会内部にもまた、制度上の分断が持ち込まれようとしているのである。

在日コリアンにとっての戦後はいわば入管法・外登法との闘いの歴史であった。一部のひとびとへの管理・監視が正当化され、過重な義務が課される一方で、本来的に認められるべき権利がないがしろにされる非対称な構造は、対岸の火事であると見なしている側にもいずれじわじわと波及してくるだろう。あらゆるひとびとの人権が尊重され、差別が許されない真の多民族多文化共生社会の実現を求めて、われわれは今後も努力を続けていく。
2009年7月10日
在日コリアン青年連合(KEY)





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