[CML 000632] 政権交代は今、なぜ必要か(五十嵐仁&青葉台在住者&山口二郎)
higashimoto takashi
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
2009年 7月 10日 (金) 14:32:14 JST
どんなに遅くとも10月20日までにはある次期総選挙後の政権交代でその政権与党になることが
確実視されている民主党の政権奪取後の政策実施を含む政権運営を危惧する声は民主勢力に
少なくありません。私は次の総選挙で政権交代が実現することを強く望んでいますが、実のところ
その私自身が民主党の政権奪取後の政権運営、政策実施に強い危惧の念を抱いています。
民主党に関するここ1、2週間のできごとを振り返ってみただけでも、民主党は、水俣病患者団体
が「加害者救済の法律でしかない」と激しく糾弾する水俣病救済法を患者の切実な声を切り捨て
て賛成する側に回りました。また、自衛隊の活動領域を安易に拡大する恐れがあるとしてメディア、
民主団体などからも批判の多い貨物検査法案にも「それほど反対する立場ではない」(鳩山代表)
として賛成する構えでいます(時事通信 2009年7月7日付)。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009070700749
さらにまた民主党は、自民党の東国原知事衆院選擁立の動きに対抗するかのように、最近、バ
ックラッシュ、ポピュリズム知事の橋下氏に急接近し、同氏を「地方の改革の旗手」として持ち上
げ、かつ「橋下氏の考え(注:すなわちバックラッシュの考え)は非常に民主党に近い」(鳩山代表)
とまで言い切っています(東京新聞、2009年7月9日付)。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2009070902000047.html
自民党とともに民主党の見境のない有名人志向にはまったく呆れ果てるものがあります。このよ
うな民主党の政治的な自堕落を見るにつけ、次の総選挙での政権交代の実現を強く望む私とし
ても、同党に国政を委ねることの危険性をこれもまた強く思わずにはいられません。
しかし、それでも政権交代は必要です。政権交代は、下記に見るように民主主義制度の本質的
要素のひとつです。まして、私たちの国では、戦後60有余年のほとんどの時期に渡って(私たち
の生のほぼ一生に相当します)自民政権が戦後政治を壟断(ろうだん)し続けてきました。その
政権交代の意義ははかりしれないものがあるだろうと思います。ドイツ・ナチスのようなファシズ
ム政党を選ぶというのでもない限り、基本的にその形がどのようなものであれ、政権交代は、私
たちの国の政治革新のための重要な第一歩といわなければならないように思います。
そういう意味で、現政権与党である自民、公明党と政権奪取政党である民主党を同列に置き、
「どちらが政権の担い手になろうとも、国民に幸福は訪れないし、日本の政治の未来は開かれ
ない」(共産党8中総報告、「しんぶん赤旗」2009年6月6日付)などと断ずる姿勢は、上記で述べ
た政権交代の意義を否定するとともに私たちの国の政治変革の道筋を読み誤った、結果として
自・公勢力に手を貸す甚だしい謬論といわなければならないだろうと私は思います。
私は決して反共主義の立場から共産党の主張を批判しているのではありません。むしろ、私は、
私たちの国の政治変革のために共産党の真の躍進を願って諌言しているつもりです。共産党
のみなさんには私の真意をご理解いただければ幸いに思います。
以下、「政権交代の意義と必要性」について説得力のある論を展開している3人の方の論説を
紹介させていただこうと思います。
(1)政権交代の意義と必要性(五十嵐仁の転成仁語 2009年6月22日)
http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2009-06-22
(2)政権交代は今、なぜ必要か(Aobadai Life 2009年7月8日)
http://ameblo.jp/aobadai0301/entry-10295587116.html
(3)期待先行“リバウンド”が怖い民主党(山口二郎/日経ビジネス 2009年7月9日)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090708/199531/?P=1
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(1)政権交代の意義と必要性(五十嵐仁の転成仁語 2009年6月22日)
http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2009-06-22
(前略)
ところで、ときどき講演などでこう聞かれることがあります。自民党と民主党は政策的には同じだから、
政権交代にはあまり意味ないのでは? ヒョッとしたら、もっと悪くなるのでは? という質問です。
これについて、どう答えたら良いのでしょうか。これからも、このような質問があると思いますので、私
の考えを書いておきましょう。
まず、たとえ政策的に同じであっても、政権交代には意味があり、その可能性がある以上、何としても
それを実現する必要があるということです。
その理由は第1に、政権交代は、政権が交代できるという民主的な政治制度のメリットを具体的に示
すことになります。これは一般的な意義ですが、現状は変わらないと諦めている人々に、「いや、変わる
し、変えることができるのだ」ということを示す最善の例になるでしょう。
この点では、変わること自体に意味があるということです。このような変化によって政治のダイナミズ
ムを示すことは、政治への関心を高めることにもつながるに違いありません。
第2に、常に政権交代が起き、変わり続けていれば、変わること自体の意味はそれほど大きくありま
せん。しかし、自民党政権は、短期間を除いて、ずっと政権与党であり続けてきましたから、ますます
変わること自体の意味は大きいと思います。
戦後の政治では47年と93年に政権が交代しましたが、政党の再編などではなく与野党が真正面から
対峙した政権交代は、1924年の総選挙以来、実現していません。総選挙前に自民党が分裂しなけれ
ば、85年ぶりの歴史的な転換だということになります。
(以下略。全文は上記URLでお読みください)
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(2)政権交代は今、なぜ必要か(Aobadai Life 2009年7月8日)
http://ameblo.jp/aobadai0301/entry-10295587116.html
民主主義の本質は、「政権交代」にある。
つまり、権力はいずれ腐敗するものであり、それは人類の歴史を振り返って、明らかであるばかりか、
海外のどんな名大統領、名首相であっても、10年以上もの長期政権になると、やはり腐敗が問題に
なってくるように、権力が固定化されてしまうと、そこに利害関係者がグタグタに寄せ集まってしまって、
腐敗をしてしまうというのは、人間の悲しいサガなわけだ。
旧時代であれば、権力の交代にあたっては、戦争や、革命を起こすしか方法はなかったわけである。
同じ世襲制度内の権力継承(たとえば徳川幕府、帝政ローマ)でも、いずれにしても、将軍を変える
必要があるから、公然と、または密室で、暗殺は行われてきたわけである。よって、歴史の真実でい
くと、将軍が若くして亡くなっているという場合は、たいてい毒を盛られて暗殺されていることが多い。
そうでもしなければ、権力の交代は実現できなかった時代なのだ。
現代の民主主義の素晴らしさの本質は、権力の交代を、選挙を通じて、平和的に実現する、という
点にある。
しかしながら、それでも未成熟な国家では、様々な妨害工作が働いて、それも実現ができないように
なっている。比較的民主主義的なイスラム国家とも見られていたイランでも、アフマディネジャド政権
の誕生により、メディアも偏向報道が行われ、さらには大規模な不正選挙が行われたが、われわれ
日本の政権交代も、60年近く自民党が支配したきた強固な権力基盤、また、官僚を中心とした100
年以上の国家体制があるため、ここから権力を交代しようということは、大変なことなのだ。
(中略)
では、権力を監視するべき存在であるマスコミはどうか。
本来、「民主主義の番人」として、権力の腐敗をチェックしなければいけないが、マスコミ自身も、
戦前の大本営発表のなごりである記者クラブ制度、そして、大新聞社は、再販制度の恩恵に浴し、
テレビ局は、「公共の電波」を使用するため、放送の許認可権を総務省が握っており、その配下
にある。
本来、欧米諸国では、マスコミの存在自体が、「公共の財産」という考えがあって、たとえば、テレ
ビ局と、新聞社の同系列化は、禁止されるというような、法制限もあるわけだが、日本はいびつ
な状態にあって、五大ネットワークにマスメディアは寡占されている状態にある。
しかも、このマスコミが権力側と癒着状態にあり、たとえば、有力政治家の子弟が、テレビ局、新
聞社にコネ入社だらけなのは、典型的な一例だが、そもそも戦後の政治史を振り返っただけで
も、読売・日テレグループの総帥である正力松太郎が、自民党の議員として、初代科学技術庁
長官にも就任していたり、また、朝日新聞の主筆であった緒方竹虎は、副総理にもなっている。
もちろん、現在においても、ナベツネの政界における影響力の大きさを見れば、まったく構造は
変わっていないことがよく見てとれる。
さらに話を複雑にしているのは、アメリカ、CIAの存在だ。これが教育の場はもちろん、メディア
の報道でもタブーになっているので、国民はその存在をしるべくもないが、もともとは戦後の冷戦
の状況下で、アメリカとしては、日本の独立を許しはしたものの、完全に日本をコントロール下に
置き続けるために、CIAを活用したわけだ。
(以下略。全文は上記URLでお読みください)
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(3)期待先行“リバウンド”が怖い民主党(山口二郎/日経ビジネス 2009年7月9日)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090708/199531/?P=1
―― 今回衆院選は、ある意味で初の2大政党による選挙になりますが、その意義は何なので
しょうか。
山口 結局、60年も1つの政党がずっと権力の座にいるというのは不健全なことなんですよ、
それ自体がね。今年3月に出版した『政権交代論』という本の中でも書きましたが、自発的結社
としての政党と国家機関とのけじめがなくなるんですよね。
西松建設の事件で小沢(一郎)氏が天の声を出したといって、自民党がいろいろ言っている
けど、あんなのはちゃんちゃらおかしいわけですよ。
彼ら自身、今まで何をやってきたのか、知らないはずはない。小沢氏だけああいうふうにして
問題にするなんていうのはバカげているわけで、その何十倍のことをずっと自民党はやってき
たわけですね。
つまり、社会の側のボランタリーな結社としての政党というのが、何十年も権力の座にいれば、
デファクトスタンダード(事実上の標準)のガバメントになってしまうんですね。
だから、何か政府から利益を得ようと思えば、自民党というものを通さなければ、何もできな
いという構図が出来上がる。それが自民党の長期政権を支えてきたという面はあるわけです。
民主党の応援をするつもりはありません
―― 先生は、前々から政権交代を主張され、民主党の小沢一郎氏を支持していることでも
知られていますが。
山口 私は別に民主党が政権を取ったら民主党の応援をするつもりはありません。むしろ、
今度は民主党の批判をするつもりですけど(笑)。それにしても、時々権力が入れ替わるのは、
民主主義には不可欠の要素ですよ。
(以下略。全文は上記URLでお読みください)
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東本高志@大分
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
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