[CML 000631] 大田市教育委員会への抗議声明
jongsoo
jongsoo at seinenkai.org
2009年 7月 10日 (金) 12:05:06 JST
各位
表題の件で抗議声明を以下にお知らせします。
===============================
在日韓国青年会 金宗洙 (キム・ヂョンス)
TEL 03-3453-0881 /FAX 03-3453-2326
大田原市教育委員会教育長
小沼 隆 殿
大田原市の公立中学校における
教科書採択に関する抗議声明
2009年7月10日
在日本大韓民国青年会中央本部
会 長 金 宗 洙
昨日2009年7月9日、貴教育委員会は大田原市の公立中学校において、扶桑社版歴史教
科書を採択した。2005年の採択に引き続き、史実の改ざんを企図したこの教科書をあ
えて採択するというこの事態に、本会は強い憤りを禁じえない。
本会は去る7月3日に貴教育委員会に要望書を提出し、近代日本の帝国主義による植民
地支配によってこの地に居を構えるに至った歴史を持つ在日韓国人3世、4世を代表す
る声として、扶桑社版及び自由社版教科書の問題点を指摘した。先の侵略戦争と植民
地支配を正当化し、加害の歴史を覆い隠す記述に終始するこれらの教科書が、学校教
育の現場で使用されることにより、生徒たちが偏った歴史観を持ち、将来アジアをは
じめとした世界各国の市民のなかで孤立する恐れは、容易に想像できる。また、外国
籍住民が日本国内で200万人を超える中で、他国を貶め日本の優越を強調する歴史描
写は、日本人生徒の共生志向を阻害するだけでなく、同じ教室で学ぶ外国籍の生徒た
ちへの悪影響も懸念される。
2005年に行われた中学歴史教科書の採択に際して、内外を問わず多くの市民や保護者
から、中学生の歴史教育にふさわしくない教科書として、不採択を訴える声が高まっ
た。また、歴史学の専門家や教育関係者からも、記述の基本的な間違いや思想的な偏
りが指摘され、全国の公立学校における採択率は0.39%に留った。しかし、貴教育委
員会は世論を無視し二期連続での扶桑社版歴史教科書の採択という愚行に踏み切っ
た。これまで指摘されてきた問題点をなんら省みることなく、特定の思想に基づく
誤った歴史観を、大田原市内の中学生に強制することは到底許すことが出来ない。
今回の教科書採択において市民からの意見を封鎖し、十分な議論を尽くすことなく
早々に教科書採択を行ったことも看過することが出来ない。扶桑社版の歴史教科書が
記述の事実誤認も含めて多くの問題点を指摘されているにも関らず、新たに内容を審
議することなく採択を決定した行為は、教育委員会が生徒に対して最良の教科書を提
供する職務を放棄したものであり、その責任を強く追求せざるをえない。また、全国
の歴史教科書採択に先駆けて扶桑社版教科書を採択したことは、審議の不足だけでは
なく特定の思想への支持を広く宣伝する行為であるとさえ思われる。
貴教育委員会の今回の決定は、扶桑社版歴史教科書を使用することとなる生徒及び学
校関係者はもとより、外国籍住民を含む大田原市民、日本国民そして近代日本の帝国
主義によって加害を受けたアジアの国々にとっても、利益のないものであることは明
白である。ただ利益を享受するのは、日本にとって都合の悪い歴史を隠蔽し、歴史か
らの教訓を正面から受け止めることの出来ない歴史修正主義者のみである。我々は、
国内外の多くの市民の信頼を裏切った貴教育委員会の愚かな決定を糾弾し、貴教育委
員会が速やかに扶桑社版歴史教科書の採択を白紙撤回することを、断固として求める
ものである。
CML メーリングリストの案内