[CML 000618] 毎日新聞の 「JAPANデビュー」問題記事

higashimoto takashi taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
2009年 7月 8日 (水) 22:44:35 JST


毎日新聞がNスペ「JAPANデビュー」問題について取材チームを立ち上げ、この問題に
ついて本格的に取り組もうとする意気込みを見せています。

■NHKスペシャル:「アジアの“一等国”」 「台湾統治」認識で揺れる番組評価
(毎日新聞 2009年7月6日)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090706ddm012040007000c.html

私は先のメール(00517)で「この問題は当然のことながらNHKだけの問題ではありません。
戦争の道に巻き込まれないための私たち市民の問題、私たちの国のジャーナリズム、ジャ
ーナリスト全体の問題であろう」と書きましたが、そういう意味でも、この毎日新聞の意気込
みはたいへん歓迎すべきことだと思います。

私はさらに先のメール(AML 21512)で毎日新聞の2008年10月5日付コラム『発信箱』に
「自民党ではなく、憲法を『ぶっ壊し』ていま永田町を去ろうとしている小泉純一郎元首相に
対して新聞記者としてなんら対峙しえなかった『己』に恥辱をみている」と書いた広岩近広
記者(編集局)の『小泉さんと我が恥辱』という記事を紹介したことがありますが、
http://list.jca.apc.org/public/aml/2008-October/020996.html

毎日新聞の今回の「JAPANデビュー」問題の取材チームの立ち上げは、そうした「マスメ
ディアの良心」が同紙に息づいているひとつの現われのようにも感じています。

しかし、その記事は、いわゆる「価値中立」的な「客観報道」の枠を超ええていないようにも
思います。「価値中立」的とは別の言葉で言えば、「現状を動かさず、そのままの状態で視
る」という謂いでしょう。そうであってみれば、「価値中立」的な報道は結局のところ「体制」
維持の装置として機能するほかありません。それでメディアは「権力に対するウォッチドッグ
(監視者)」「民主主義の番人」を自称することができるでしょうか?

先のメールでも触れた白虹事件(大阪朝日村山社長襲撃事件)は戦前、言論機関が権力
に屈服していく端緒となった事件として歴史に刻印されることになったわけですが、今回の
「JAPANデビュー」放映に関して右翼が大同集結して私たちの国のジャーナリズムを恫喝
=提訴するという構図はまさに戦前の白虹事件を想起させるものです。この白虹事件が
私たちの国のポイント・オブ・ノーリターン(引き返し不能)の分節点になったのです。

ジャーナリズム、ジャーナリストはこの歴史の教訓に心していただきたいものです。そうす
れば、記事の切り口、切り込み方もおのずから違ったものにならざるをえないというべきで
はないでしょうか?

この「JAPANデビュー」問題に関して、醍醐聰さんもご自身ののブログで記事にしています。

■「他虐」を「自虐」と言いくるめる本末転倒のナショナリズム 〜NHKスペシャル「JAPAN デ
ビュー」への攻撃に思うこと〜
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/nhk-5bee.html

あわせてご紹介させていただこうと思います。

以下はくだんの毎日新聞記事(省略版)です。

………………………………………………………………………………
■NHKスペシャル:「アジアの“一等国”」 「台湾統治」認識で揺れる番組評価
(毎日新聞 2009年7月6日)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090706ddm012040007000c.html

 日本による台湾統治を取り上げたNHKスペシャル(4月5日放送)の評価を巡る論議が
政界に波及している。自民党議員が国会で番組内容を批判すれば、共産党の議員は良
い番組だと述べ、評価は割れる。番組に関する訴訟も起きたが、NHKは「内容に問題は
ない」との姿勢を貫いている。【「JAPANデビュー」取材班】

 ●国会では主張二分

 国会で取り上げられたのは、鎖国を解き欧米列強に追いつこうとする近代日本の歩み
を描く「シリーズ・JAPANデビュー」の1本目「アジアの“一等国”」。

 日本にとって初の植民地だった台湾の半世紀に及ぶ統治を、2万6000冊に及ぶ台湾
総督府文書や、欧米各国に残っていた文書などを基に検証し、日本とアジアのかかわり
の原点を探った。

 6月25日の参院総務委員会で、自民党の世耕弘成議員は「放送された内容は、私が
知っている台湾の人々の対日観とあまりにかけ離れている。相当偏った取材をしたので
はないかと思う」と番組批判を展開した。

 世耕氏は、日英同盟下のロンドンで1910年に開かれた日英博覧会で、台湾の先住民
が参加して暮らしぶりを紹介したイベントを取り上げた。番組がイベントについて、英仏が
文明化した植民地の人々の宣伝の場とした「人間動物園」をまねしたと紹介したことにつ
いて「当時そういう表現はされていなかった」と疑問を投げかけた。

 また、番組に出演した台湾人の柯徳三さん(87)が放送後に受けた週刊誌や衛星放送
局の取材に対し「植民地時代のマイナスとプラスの両方を話したのに番組では負の部分
しか紹介されていない」などと語った内容を踏まえ、世耕氏は「コメント使用に問題があっ 
た」と指摘した。

 一方、共産党の山下芳生議員は世耕氏とは正反対の評価だ。山下氏は同じ委員会で
「非常にいい番組だった。番組に登場する現在の台湾の人たちの表情を見ると、親日的
と言われる台湾の人々の心の奥底にある複雑な思いが伝わった。歴史を直視し、互いに
共有し、反省すべきは反省してこそ相互理解とより深い友好関係が構築できると感じた」
と感想を述べた。

 NHKの日向英実・放送総局長は委員会で、人間動物園について「私どもの集めている
資料の中では使われている」と反論。柯さんのコメントについても「発言の趣旨を十分に
反映している。恣意(しい)的な編集はしていない」と述べた。

 ●慰安婦番組も批判

 「JAPANデビュー」を問題視する国会議員はどんな人たちか。

 6月11日、番組に批判的な自民党の議員らが議連「公共放送のあり方について考える
議員の会」を設立。会長は古屋圭司衆院議員、事務局長は稲田朋美衆院議員だ。古屋
氏は「放送法に沿って番組が作られているかを検証していく」と語る。

 同会には安倍晋三元首相、中川昭一前財務・金融相も参加。97年設立の議連「日本
の前途と歴史教育を考える若手議員の会」では、安倍氏が事務局長、中川氏は代表を
務め、古屋氏も副幹事長だった関係にある。この会が発行した「歴史教科書への疑問」
によると、中学校歴史教科書に従軍慰安婦の記述が残ることに疑問を持つ戦後世代を
中心とした集まりだという。

 安倍、中川、古屋の3氏は、従軍慰安婦を取り上げたNHK教育テレビ番組「ETV20
01シリーズ戦争をどう裁くか・問われる戦時性暴力」(01年1月30日放送)を批判した。
安倍氏は放送前にNHK放送総局長らと面会し「公平、公正にやってください」と要請。
このことが、NHKの国会担当局長の現場への直接指示による番組改変につながった
とされる。

 安倍氏は自分のメールマガジンで「JAPANデビュー」について「『反日』で貫かれてい
ます。歴史認証抜きに『人間動物園』とか『日台戦争』といった新たな概念を作り上げ、
イメージ操作を行い、これでもかと日本を貶(おとし)めています」と批判する。

 稲田氏は保守系新人議員で結成した「伝統と創造の会」会長も務める。5月に産経新
聞に掲載された、NHKに訂正放送などを求める意見広告に賛同した。

 昨年春に上映中止が社会問題化した、靖国神社を舞台にしたドキュメンタリー「靖国 
YASUKUNI」問題では、文化庁所管の独立行政法人が決めた750万円の助成を問
題視した。

 また今回、中山成彬・前国土交通相が会長を務める「日本の前途と歴史教育を考え
る議員の会」は、NHKに人間動物園の記述などに関する公開質問状を2回提出した。
(以下、省略。全文は上記HPでご覧ください)


東本高志@大分
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp


CML メーリングリストの案内