[CML 000562] 日本が明白な人種主義を拒否するとき
motoei
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2009年 7月 4日 (土) 07:06:10 JST
転載です
日本が明白な人種主義を拒否するとき
フランスのメディアで、6月13日の緊急行動が取り上げられました。
↓
Quand le Japon dit non au racisme ordinaire
http://www.rue89.com/2009/06/16/quand-le-japon-dit-non-au-racisme-ordinaire
ティエリー・リボー 経済学者(フランス国立科学研究センター) 2009年6月16日
(京都にて) 2009年4月11日、埼玉県(東京の郊外)の蕨市で約50名を集めたデモが行われた。デモに参加した人々は、日本の国旗を掲げながら、「犯罪外国人と戦って追い出すぞ!」と大合唱した。参加した人々が自ら「国民大行進」と呼ぶものを実行したのは、13歳のフィリピン人の少女の住宅や学校のある辺りであった。その少女の親は不法滞在と認定され強制退去させられ、日本が出生地であった少女は、一人で日本に残ることになったのである。
少女は、おばの家での一年間の特別在留許可を法務省の決定によって与えられた。まさにこの決定に対して激しく反対を主張したデモ集団こそが、自称「在日特権を許さない市民の会」(仏語では「日本に滞在する外国人の全ての特権を許さない市民の会」)、略して在特会である。
「朝鮮人は、他の人種より百倍も犯罪をひき起こしている」
このデモ集団は、この少女を、すべての不法滞在の外国人と同様にすぐに強制退去させるよう、公権力に対してアピールした。「この少女に滞在を認めれば、同じ様に滞在を認めざるを得なくなる事例が他にも何百件と出るに違いない」と、三つ揃えのスーツと蝶ネクタイを着込んだリーダーが叫ぶ。かんかんに怒っている演説家は、話を大きくしながら次のように続ける。
「ヨーロッパ人やアメリカ人は受け入れられるが、朝鮮人や中国人は駄目だ。朝鮮人はどこにでもいて、他の人種よりも百倍も犯罪をひき起こしている」
この集団のより一般的な主張は「日本で暮らす外国人の特権」の廃止であり、彼らが行き過ぎだと判断する外国人の権利を、「元の水準に戻す」ことを要求している。また在特会は公の場での議論ではまったく否定しながらも、「外国人に人権など存在しない」と考えており、自らのウェブサイトにそう掲載しているのである。
このウルトラ愛国主義的で大衆迎合的な運動で目立つのは、こういうタイプの集団ではこれまで見られなかった仕方での意思表明や活動に訴えているということである。われわれが見慣れている日本の極右の姿は、東京の大きな駅(新宿駅や渋谷駅など)の前で、日の丸が描かれた黒い車の屋根に据えられた大きなメガホンで、不機嫌そうにわめき散らしているというものであった。そして多くの場合、通行者は彼らに比較的無関心だった。だが今回取られていた方法は、左翼運動で長らく用いられてきた活動形態から剽窃したものである。在特会は街頭でのデモに訴えながら、デモを人々に混乱を撒き散らすものへとつくり変えようとしたのである。
人間に対する人道的な待遇のために
蕨市のデモから二ヶ月ほど経った2009年6月13日10時、同じ日に予定されている京都で初めての在特会によるデモの直前、まだ肌寒い鴨川の川原にさまざまな人々が集まってきた。在特会のような考え方への反対意見を知らしめるため、面と向かって意思を表明しようという人々が集ったのである。この人々からみれば在特会は非人道的な組織であり、日本社会で現在起こっている数々の動きと同様に、「人を使い捨ての資源として扱っている」のである。
反‐在特会の人々が要求しているのは、人間に対する人道的な待遇である。この人々にとって、外国人の人権の否定は許しがたい暴力的行為だ。集まった反‐在特会の人々のなかには、平和主義者、アナーキスト、組合に入っている若年労働者やプレカリアート、野宿者を支援していて住居問題に関心のある左翼やボランティア、障害者団体、民族的・性的マイノリティの権利の擁護団体、左翼議員など、さまざまな人々がいた。そして、少数だが目立っていたのが、日本の愛国主義者の参加者である。愛国主義者の彼らは、在特会が自らの象徴として日の丸を用いながら、これほど憎しみを表に出して外国人排斥を訴えていることを、自分たちの国の不名誉だと考えたのである。彼らのうち一人が逆説的な主張の書かれたプラカードをかざしていた。「私は日本人であることを、そして世界の一員であることを誇りに思う!」
「われわれはみな外国人だ!」
スローガンは、すべての労働者およびすべての人々の移動の自由にも向けられた。「世界の労働者よ、団結せよ!」、「労働者に国境はないぞ!」、「生きる権利に国境はないぞ!」、「労働の権利に国境はないぞ!」といったように。またプラカードのいくつかには、「あなたが不幸せだとしても、それを外国人に向けるな、権力に対して訴えろ!」、「われわれはみな外国人だ!」、「外国人の友人がいないの?」などが書かれていた。
より挑発的な参加者は、日の丸の中にハーケンクロイツを描き、そしてそれをブーツで踏んだ跡も描いた大きな旗を、お化けみたいにしてかぶっていた。またある人々は、日の丸の赤い丸を、猫の頭やハートマーク(いわゆるハートマークだったり、ギザギザに割れていたり)に変えたり、団子(多様性のシンボルとしての、いろんな種類の肉の串だ)に変えたり、そしてさらには……湯気の立っているウンコに変えたりした旗を、めいめい風にはためかせていた。
この演出は、100名ほどの制服警官や私服警官(彼らはみんな夕方前に同じ理髪店から出てきた客のようによく似ていて、几帳面に右耳にイヤホンをはめていたのですぐにわかった)をあ然とさせずにはいなかった。デモ隊を取り囲むように配置された非常に厳重な体制にもかかわらず、この300名の人々は、季節風がつれてきた蒸し暑さのなか、ブラジル音楽のリズムにのって、深刻ぶらずに実のあるデモを行ったのである。
「在特会は何について訴えているのだろう? せっかくこの一度だけは自らの所業を正当化する機会を与えてあげたのに、ちっともわからない!」
赤と黒の大きな旗には、多数の日本のマイノリティの組合組織の略称やロゴが書いてあり、その横には、直接民主主義と自主管理を要求する自由なオルタナティブのステッカーや、労働者の連合、居住権の会のステッカーもみえる。「政治科学
Science Po 」 [多くの政治家の出身校であるパリ政治学院も意味している] を作ってきたフランスの「専門家」たちは、「運動至上主義」の悪い点をあげつらうことから外にまったく出ようとしなかった。その間に日本は、フランス本土からの輸入品のなかでもルイ・ヴィトンのバッグをはるかに超えて広がりつつある脅威、明白な憎しみに対して拒否したのである。これはグローバル化のもう一つの顔である。
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