[CML 002413] 【報告】MDに関する追加質問への防衛省回答

杉原浩司(Koji Sugihara) kojis at agate.plala.or.jp
2009年 12月 21日 (月) 23:54:03 JST


東京の杉原浩司(核とミサイル防衛にNO!キャンペーン)です。

11月6日に参議院議員会館で行ったミサイル防衛(MD)に関する防衛省
ヒアリング[呼びかけ:パトリオットミサイルはいらない!習志野基地行
動実行委員会、核とミサイル防衛にNO!キャンペーン]における防衛省
の対応が極めて不誠実、不十分だったため、追加の文書質問を提出してい
ました。12月4日に回答が届きました。

依然としていい加減な回答ですが、ご報告しておきます。回答の後に「解
説」を付しましたのでご参照ください。今後も更なる追及を続けます。
                 [転送・転載歓迎/重複失礼]

…………………………………………………………………………………

◆「ミサイル防衛(MD)」に関する追加文書質問への防衛省の回答
 
 [ 2009年12月4日/協力:福島瑞穂参議院議員事務所 ]

【1】さる9月16日に米ニューメキシコ州の米軍ホワイトサンズ射場で行わ
 れたPAC3ミサイルの迎撃試験にかかった経費の総額と内訳(ミサイ
 ル、模擬ミサイル、解析・分析費、渡航費などを含む)を示されたい。

【回答】担当:経理装備局システム装備課

 約12.9億円(契約ベース)
 
 ※[内訳]
  ・発射試験に使用する弾道ミサイル模擬標的等の取得費
  ・発射試験に伴うデータ解析の役務費
  ・地上装置の輸送に係る経費
  ・隊員の渡航等にかかる経費
 
 なお、PAC−3ミサイル2発分の経費は含まれていない。これは、P
AC−3ミサイル2発分の経費を公にすることで、PAC−3ミサイルの
単価が推察され(年度毎の調達経費の額を公表していることから)取得数
や保有数が明らかになり、国の安全が害される恐れがあることから、お答
えは差し控えさせていただいているところである。

【解説】肝心のPAC3ミサイル経費を外してしまっては、「試験経費」
とは言い難い。また、内訳の諸費用を明らかにしていない。米国からの購
入時には約4億円程度とされるPAC3ミサイル価格は、三菱重工による
ライセンス生産によって約8億円と倍に跳ね上がる。その2発分約16億円
を合計すると、経費は約28.9億円、すなわち30億円近い金額が費消されて
いることになる。


【2】米国での今回のPAC3試験ではライセンス生産分のPAC3ミサ
 イルが使用されているが、試験の際にミサイル発射時の爆風は採取して
 いるのか。もししているなら、そのガスの成分を具体的に明らかにされ
 たい。また、もししていないなら、今後は必ず採取し成分情報を開示す
 べきと考えるがどうか。

【回答】担当:経理装備局システム装備課

 今回のPAC−3試験では、ミサイル発射時の爆風は採取していない。
これは、ライセンス生産によって製造されたPAC−3ミサイルと米国で
製造されたPAC−3ミサイルの設計は同じであることから、発射の際に
発生するガスの成分は同じであるからである。従って、ガス成分の情報を
得るために爆風を採取する予定は、現時点においてはない。

【解説】ガス成分は米国製と同じだから独自調査はしないという。しかし、
米国製PAC3ミサイルのガス成分に対する問い合わせに、防衛省は「塩
化水素、一酸化炭素、二酸化窒素など」と答えたものの、米側の回答自体
は公表できないとしている。自国企業がライセンス生産している以上、独
自に調査しデータを開示すべきである。


【3】2010年度予算概算要求にPAC3の北海道、青森、沖縄への追加配
 備経費として944億円が含まれているが、複数年度にまたがるとされる
 この追加配備全体の経費総額と、ライセンス生産を継続することになる
 三菱重工の各年度の契約予定額(見積もり)を明らかにされたい。

【回答】担当:防衛政策局防衛計画課、経理装備局システム装備課

1.平成22年度概算要求においては、北海道、東北及び沖縄に所在する残る
3個高射群にペトリオットPAC−3を配備するための国庫債務負担行為
による所要の経費(約944億円)を計上している。

2.この経費は複数年度にわたって、契約相手方に支払われる予定の金額の
合計である。

3.契約予定額については平成22年度契約時に確定される。

【解説】鳩山政権は、12月17日に安全保障会議と閣議で「2010年度の防衛
予算編成の準拠となる方針」を決定し、PAC3追加配備についてはミサ
イル本体と発射機の導入は見送ったものの、それ以外のレーダー、管制装
置などをPAC3対応型に事実上、先行改修することを表明している。実
質的な追加配備への踏み込みである。「防衛計画の大綱」が一年先送りさ
れた以上、法的根拠なき追加配備に舵を切ることは本来許されない。


【4】さる10月28日にハワイ沖で行われた海自イージス艦「みょうこう」
 によるSM3ミサイルの迎撃試験の経費総額と内訳を明らかにされたい。

【回答】経理装備局艦船武器課

 約63億円(契約ベース)

 ※[内訳]
  ・イージスBMDシステムの武器体系全般の作動の良否の確認
  ・事前追尾試験及びSM−3発射試験のための模擬弾道ミサイル
  ・発射試験施設の使用
  ・発射試験後のデータ解析・評価 等
 
 なお、発射試験用のSM3ミサイル1発分の経費は含まれていない。こ
れは、SM−3ミサイル1発分の経費を公にすることで(毎年度の調達経
費の額を公表していることから)取得数や保有数が明らかになり、国の安
全が害されるおそれがあることから、お答えは差し控えさせていただいて
いるところである。

【解説】ここでも肝心のSM3ミサイル経費を外している。SM3は1発
約20億円と言われており、合計すると1回の試験に約83億円という巨費が
投じられたことになる。


【5】ハワイ沖でのSM3やSM2の迎撃試験の際に使用される米軍の太
 平洋ミサイル射場周辺で、ミサイル(ロケット)燃料に含まれる過塩素
 酸塩による環境汚染がハワイの先住民によって告発されている。防衛省
 はこの事実を知っているか。もし把握していないなら、現地調査すべき
 と考えるがその意思はあるか。

【回答】経理装備局艦船武器課

 カウアイ島の米海軍ミサイル発射試験施設周辺において、ミサイル(ロ
ケット)の燃料の含有成分による環境汚染がハワイ先住民により告発され
ているという件については防衛省は承知していない。
 また、海上自衛隊のイージス艦のSM−3発射試験について、当該施設
からの模擬弾道ミサイル発射は米国により実施されているものであり、米
国から、ご指摘のような環境汚染についての報告はないため、防衛省とし
て現地調査を行う予定はない。

【解説】防衛省は「我関せず」の姿勢。ハワイの人々と連携して、実験施
設周辺の具体的な環境汚染データを突きつける必要がある。


【6】防衛省が新型迎撃ミサイル「THAAD」(サード)の導入を検討
 していると報じられている(7月5日、毎日)が、事実か。事実ならいつ
 導入することを考えているのか。また「防衛計画の大綱」改定に反映さ
 せる意思はあるのか。さらに、基数と経費の見積もりも示されたい。

【回答】防衛政策局防衛計画課、防衛政策局防衛政策課

1.米国で開発中であるTHAADを防衛省として導入する計画はない。

2.今後の我が国のBMDシステムのありかたについては、防衛計画の大綱
の見直しや次期中期防衛力整備計画の策定に向け検討を行っているが、現
時点でTHAADを導入することを具体的に検討しているとの事実はない。

【解説】「現時点で具体的な検討はしていない」というが、今後の行方を
注視すべきだろう。また将来的には、米国が研究を開始しているSM3ミ
サイルの地上配備型を導入する案が浮上することも予想される。


【7】宇宙基本計画に盛り込まれた「ミサイル防衛」用の早期警戒衛星の
 センサー研究費は今回の概算要求に盛り込まれているのか。いるのなら
 具体的金額と参加企業名を明らかにされたい。

【回答】経理装備局技術計画官付

 既存の装備品に搭載されている赤外線センサの更なる探知・識別等性能
の向上や小型軽量化、及び衛星等に搭載した際の広域警戒・監視能力の向
上に資する新たな2波長赤外線センサについて、その基本性能を確認する
ための経費として、平成22年度概算要求において、7,855(千円)を計上
している。なお、試験の参加企業については競争性及び透明性を担保した
上で契約を行うこととしているので未定である。

【解説】09年6月に決定された「宇宙基本計画」において、宇宙の軍事利
用が公然と解禁された以上、今後もこうした研究への資金投入がエスカレ
ートしていくことが予想される。研究開発には三菱電機等が参入してくる
ことは間違いない。





CML メーリングリストの案内