[CML 003499] 金光翔さんの朝鮮学校排除問題についての論攷について

higashimoto takashi taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
2010年 3月 27日 (土) 16:27:50 JST


BCC送信。重複ご容赦ください。

「<佐藤優現象>批判」の著者の金光翔さんがご自身のブログ(2010年3月24日付)に「日本人リベラル
・左派」の朝鮮学校排除問題についての論及び声明には「在日朝鮮人の歴史的経緯に基づいた権利」
の問題への視点が欠落している、と指摘する論攷を書いています。

■在日朝鮮人の歴史的経緯に基づいた権利を(も)強調すべき――朝鮮学校排除問題
(金光翔 「私にも話させて」  2010年3月24日)
http://watashinim.exblog.jp/10896610/

上記の金さんの論攷の指摘には肯えるところも少なくありません。が、金さんが左記の指摘をする問題
提起の作法、あるいは論文の書き方の作法といってよいものに私は少なくない違和感を持ちます。

「日本人リベラル・左派」の朝鮮学校排除問題についての論の欠落点を指摘する上記の金さんの論攷
は400字詰め原稿用紙にしておよそ16枚分ほどになり、ブログ記事としてはいささか長文です。しかし、
長文であること自体が別に問題なのではありません。冗長ということでもない限り、自身の論の展開に
必要ということであればどんなに長くなってもよいわけです。問題は、「日本人リベラル・左派」の論とは
こういうものではないか、と自らが仮定したいわば架空の論でしかない論を「こうした『戦略』は、何重に
も間違っている」などとして、その長文の大半、というよりほとんど全文を費やして反論、批判する金さん
の執筆姿勢です。

金光翔さんは、「日本人リベラル・左派」が見落としている/欠落させている論点は「在日朝鮮人の歴史
的経緯に基づいた権利」という視点であるとした上で、その「日本人リベラル・左派」の見落とし、あるい
は欠落させている視点が仮に「意図的(「戦略」的)なものであるならば、それは極めて問題である」、と
して持論を展開していきます。金さんはその論攷の最後で「歴史的経緯に触れずに外国人の一般的権
利の問題として捉える反対論が、意図的な(「戦略」的な)ものではなかったことを願う」という但し書きを
挿入してはいます。が、仮定の「日本人リベラル・左派」の視点の欠落がある論を前提にした上で、その
論をほとんど全文に渡って批判していく、という論文の書き方の作法は、マッチポンプ的な論文作法とし
て強く批判されなければならない姿勢だろう、と私は思います。

そして、私の見るところ、「在日朝鮮人の歴史的経緯に基づいた権利」の問題についての視点の欠落
が、金さんが「仮定」として指摘するように「日本人リベラル・左派」の側の「有力な反対論のほとんど」が
「意図的(「戦略」的)なもの」である、ともいえないように思います。また、金さんの左記の認識は事実と
しても誤っているようにも思います。

たしかに日弁連、また単位弁護士会や地方自治体議会などの要請書には散見した限りにおいて「在
日朝鮮人の歴史的経緯に基づいた権利」の問題は触れられていないようです。しかし、左記は、議会
や弁護士会という組織としての声明の性質によるものというべきでしょう。私のブログにまとめている
「朝鮮学校排除問題」のリストの声明や見解を一覧しても「在日朝鮮人の歴史的経緯に基づいた権利」
の問題について言及しているものは少なくありません。たとえば、

■「資料:朝鮮学校無償化除外問題(2) 師岡康子弁護士インタビュー」
http://blogs.yahoo.co.jp/higashimototakashi/199945.html
「彼女(筆者中:師岡弁護士)は《在日朝鮮人に対する日本政府の差別及び日本社会の差別的態度を
見ると、北朝鮮に対する外交問題という「仮面」をかぶっているが、本質的には植民地時代から続いて
いる植民地主義に根を置いた民族差別だ》と言った」

■「資料:朝鮮学校無償化除外問題(10) 「子どもはお国のためにあるんじゃない!」市民連絡会声明」
http://blogs.yahoo.co.jp/higashimototakashi/204827.html
「言うまでもないことですが、戦後日本政府は朝鮮半島出身者を「朝鮮籍」としました。祖国が分断され
た後も、「どちらかを選ぶことはできない」と、韓国籍を取得せず、朝鮮籍のままでいる方も多くいます」

■「資料:朝鮮学校無償化除外問題(12) 外国人学校・民族学校の制度的保障を実現するネットワ
ーク要請書」
http://blogs.yahoo.co.jp/higashimototakashi/213010.html
「朝鮮学校は、戦後直後に、日本の植民地支配下で民族の言葉を奪われた在日コリアンが子どもた
ちにその言葉を伝えるべく、極貧の生活の中から自力で立ち上げたものです」

■「資料:朝鮮学校無償化除外問題(14) 「韓国併合」100年 日韓市民ネットワーク・関東要請書」
http://blogs.yahoo.co.jp/higashimototakashi/213337.html
「また、今年2010年は、「韓国併合」100年に当たる年です。鳩山首相は、昨年11月にシンガポールで
開催されたAPECで、「この地域では、ほかならぬ日本が、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に
対して多大の損害と苦痛を与えた後、60年以上がたった今もなお、真の和解が達成されたとは必ず
しも考えられていない」と演説されました。(略)そうであるならば、なおのこと高校授業料無償化政策
から朝鮮学校の生徒を除外するなどということがあってはならないと考えます」

■資料:朝鮮学校無償化除外問題(29) 文科省申入れ報告と要請書 「韓国併合」100年−2010
年運動(2010年3月20日)
http://blogs.yahoo.co.jp/higashimototakashi/611612.html
「「韓国併合」から100年を迎える時点に、日本政府は朝鮮半島との不正常な関係を正し、過去を清
算して和解・平和・友好関係を築くよう積極的に取り組むべきでしょう。それを真に望む朝鮮半島の
人々は、今回の高校無償化法案をその試金石として注視しています」 

など。

各声明や見解におけるこの問題についての指摘は上記に見たとおり短いものですが、これもやは
り声明や要請書という文書の性質によるものというべきだろうと思います。金さんが「日本の任意の
反対声明を、韓国の『真実と未来,国恥100年事業共同推進委員会声明』と比べてみれば」、日本の
反対声明が在日朝鮮人社会の形成の歴史的経緯・必然性に触れていないことは「明らかであろう」
という韓国の声明の該当部分も「日本が朝鮮を強制併合して100年を迎える時点に、日本政府は
アジアでの過去清算に先立ち、内部的な過去清算に積極的に取り組むべきだろう。植民主義清算
を真に望む世界の人々は、今回の高校授業料無償化政策をその試金石として注視している」という
短いもので、日本の声明や見解が特に短いというわけでもないように私は思います。やはり声明や
要請書という文書の性質がそうさせるのだろう、と私は思います。

上記の私の金論攷に対するコメント、あるいは評価を述べた上で、金光翔さんの同論攷を私のブロ
グの「朝鮮学校無償化除外問題」資料の中につけ加えさせていただきたいと思います。もちろん、
金さんの指摘には仮定上の問題への反論という私として問題としたいところを除いて、傾聴に値す
る指摘も少なくないからです。

金光翔さんの朝鮮学校排除問題についての論攷は下記URLからお読みください。

■在日朝鮮人の歴史的経緯に基づいた権利を(も)強調すべき――朝鮮学校排除問題
(金光翔 「私にも話させて」  2010年3月24日)
http://watashinim.exblog.jp/10896610/

また、本メール記事は「「草の根通信」の志を継いで」にもアップしました。
http://blogs.yahoo.co.jp/higashimototakashi


東本高志@大分
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp



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