[CML 002256] 反戦の視点・その92 沖縄から出て行くべき普天間基地は、グアムでも大迷惑!

加賀谷いそみ QZF01055 at nifty.ne.jp
2009年 12月 8日 (火) 13:07:01 JST


(転載歓迎)

反戦の視点・その92

 沖縄から出て行くべき普天間基地は、グアムでも大迷惑!
         ──基地はいらない、どこにも──

                            井上澄夫(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)

 米海兵隊普天間基地を丸ごとグアムに移設させる話が浮上している。社民党は、
硫黄島かグアムに持って行け、と主張し始めた。グアム移設については、12月
4日付『東京』にこういう記事が載っている。
 〈鳩山由紀夫首相は北沢俊美防衛相、岡田克也外相に辺野古以外の代替地を探
すよう指示。社民党は在沖縄米海兵隊8000人が移る予定のグアムに飛行場機
能も移すよう提起している。/北沢氏は4日午前の記者会見で「近々グアムに行
く。キャパ(受け入れ能力)の問題や地形、米軍の展開も確認したい」と述べ、
来週に現地を視察し、移設の可能性を探る考えを表明した。/また、社民党の福
島瑞穂党首(消費者・少子化担当相)は記者会見で、新たな移設先の検討につい
て「非常に歓迎でき、うれしい。選択肢の幅が明確に広がった」と述べた。〉
  同日付『毎日』は、鳩山首相がグアムが移設先として「妥当かどうかは検討す
る必要がある」とのべたと伝えるが、それは慎重な姿勢を示しながら、少なくと
も選択肢から排除していないことを示している。また12月7日付の『朝日』は
「北沢防衛相は週内に、政権内の一部で移設先候補として取りざたされている米
領グアムを訪問し、米軍基地を視察する予定だ。」と伝えている。 
 鳩山首相によってグアムが「辺野古以外の代替地」とされるのかどうか、現段
階では先行きはまったく不透明である。はっきりしているのは、グアムの先住民
チャモロの人びとが、彼女ら・彼らの島から米軍が出て行くことを求めていると
いうことだ。

 1898年、米西(アメリカ・スペイン)戦争の結果、パリ講和条約でグアム
はプエルトリコ、フィリピンとともに米国に併合され、同時にキューバの独立が
承認された。米軍は戦利品としてグアムを獲得したのである。それ以来、約11
0年間、グアムの島人(しまびと)は米軍の支配下で苦しんできた。グアムは淡
路島より少し小さく、島の3分の1を米軍基地が占めている。米国の準州で、合
州国議会によって自治法が制定されている「自治的領域」であるが、合州国憲法
が完全に適用されることはなく、連邦議会に議員を送ることもできない(ハワイ
は1959年に米国の50番目の州になった)。したがって自治権は保障されて
いない。グアムを牛耳るのは今も米軍である。
 これまでの約110年間の例外は日本軍の占領期である。1941年12月8
日、日本は米英に宣戦を布告し、同月10日、日本軍がグアムを占領、同島を大
宮島(だいきゅうとう)と改称した。1944年7月21日に始まった米軍の攻
撃でグアムは米国に奪還されたが、それまでの約31カ月、日本軍による統治が
続いた。    

 1980年代のある日、グアムを訪れた私を、同地のチャモロ人の若い反核運
動家、デイビッドがある岬に連れていった。その岬の突端には潮風に吹かれて小
さな石碑が建っていた。碑には数十人の名が刻まれていた。「これはベトナム戦
争で死んだチャモロの若者たちだ。この碑はわれわれチャモロ人が彼らを忘れな
いために建てたのだ。日本人は誰も知らないだろう。日本人でこの碑を訪れたの
はたぶん君が初めてだ」。私はしばらく碑を眺めてから彼に聞いた。「なぜ私を
ここに案内したのか」。彼は答えた。「君がベトナム反戦運動の活動家だったと
聞いたからさ」
 間違いなく核兵器が貯蔵されているという米空軍アンダーセン基地のフェンス
に沿ってドライブしながら、デイビッドは、米軍の統治は植民地支配そのもので
あること、チャモロの若者たちに働き口がないことが深刻な問題であること、自
分たちは「フードクーポン」(食料券)を支給され、なんとか生きていることな
どを詳細に語った。ドライブと書いたが、彼の車はポンコツ以下で、座席に座る
と、地面が見えた。「気をつけてくれ。足を伸ばすとケガをするぞ」

 普天間基地をグアムに移設すべきという人びとは、チャモロの人びとが米軍基
地の撤去を求めていることを知っているのだろうか。今日までのグアムの約11
0年間の歴史は戦後沖縄の64年間の歴史に驚くほど似ている。今年9月グアム
を訪れて同地の女性たちと交流した沖縄の「基地・軍隊を許さない行動する女た
ちの会」の高里鈴代さんは「同じです」と報告している。普天間基地のグアム移
転はグアム住民の苦しみをさらに増す。沖縄の苦しみをグアムの人びとに押しつ
けることが「普天間問題」の解決であっていいのか。
 私はグアム移設に反対する。それなら普天間基地をどうするのだという問いに
も答えておきたい。軍事基地はどこにもあってはならないものである。あっては
ならないものは、どこにもあってはならないのだから「なくす」しかない。普天
間基地は即時閉鎖され撤去されるべきである。あってはならないものを「どこに
移設するか」という問題設定自体がそもそも間違っているのだ。


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