[AML 12846] 「安倍晋三の二枚舌」は四面楚歌
half-moon
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2007年 3月 25日 (日) 20:03:13 JST
半月城です。
つい先日、日本外国人特派員協会で「慰安婦」問題をつつかれた中曽根・元首相
は、かつて風見鶏と評されました。その時々の風向きに合わせて行動する処世術を皮
肉ったものでした。
それでも中曽根・風見鶏は、いつもどこを向いているのか大体あきらかだったの
ですが、それにひきかえ、安倍・風見鶏は一体どこを向いているのか判然としないよ
うです。それは、彼の本心が内外の世論からかなりかけ離れているので、かれ自身み
ずからの方向を見定められないためのようです。
安倍首相は、国際的な世論に押されて「慰安婦」問題で日本軍の全面的な関与を
認めた河野談話を継承するといえば「保守支持層の不満がたまっている」とされるし
(注1)、本心のままに河野談話に疑問を呈すると同盟国のアメリカからすら懸念の
声が噴出するし、河野談話の件では進退窮まっているように見受けられます。
元来、安倍首相自身は河野談話にどのような認識をもっていたのでしょうか。そ
れはかれの経歴が如実に物語っているようです。
安倍首相はかつて「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の事務局長を
つとめました。この会は、中学校の歴史教科書に「慰安婦」の記述が載ることに危機
感をいだいた戦後世代の議員たちが97年に立ち上げた会でした。代表には、数年前
NHKの「慰安婦」番組に圧力をかけて改変させた、あの中川昭一氏が就任しまし
た。
会は教科書や「慰安婦」問題に関する研究会を開き、吉見義明教授なども呼びま
したが、講師として呼んだのはほとんど右翼的な、あるいはタカ派の面々でした。そ
の研究会の成果として安倍氏は河野談話について、こう記しました。
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平成5年8月4日の河野官房長官談話は、当時の作られた日韓両国の雰囲気の中
で、事実より外交上の問題を優先し、また、証言者16人の聞き取り調査を、何の裏付
けも取っていないのにもかかわらず、軍の関与、官憲党の直接の加担があったと認
め、発表されたものであることも判明しました。
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以前より、いわゆる「従軍慰安婦問題」が、今年から中学校のすべての教科書に
登場することに危機感を持っていたのですが、それを強引に推し進めてきた勢力が、
ついに(櫻井よしこ氏への)言論弾圧を堂々と始めた事に、政治家として危機感をい
だきました(注2)。
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この文章から、安倍氏の本心は河野談話を認めていないことが歴然としていま
す。それにもかかわらず、最近の安倍首相は世界の声に押されて河野談話を継承する
と発言せざるを得ないものですから、前回書いたように、安倍発言は「意味不明」に
ならざるを得ません。
そうなると、安倍首相の発言は単なる「言葉遊び」に過ぎません。韓国の宋旻淳
外相は「(旧日本軍による)強制性が、広義にはあったが狭義にはなかったという
が、そのような言葉遊びはしてはならない(注3)」ときびしく批判しました。
安倍首相の「狭義の強制連行」に対する疑念はシンガポールやカナダなどからも
次のようにだされました。
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<シンガポール首相、慰安婦問題に「当惑を感じる」>
朝日新聞、2007.3.20
シンガポールのリー・シェンロン首相は19日、東京都内で太田公明党代表と会談
し、旧日本軍の慰安婦問題について「最近の日本国内での議論には当惑を感じる」と
述べ、「狭義の強制性」を否定した安倍首相の発言などに懸念を表明した。
・・・・・・
また同日夜には、カナダのマッケイ外相が麻生外相と6者協議などについて電話で
話し合った際、慰安婦問題にも言及した。日本外務省によると、マッケイ氏は日本政
府が強制性を否定しているとのカナダや米国での報道を念頭に、「種々の報道がある
が改めて日本の立場を聞きたい」と質問。麻生氏は「首相が元慰安婦の方々への心か
らの同情とおわびの気持ちを表し、国会でもそう述べている。河野談話を継承する立
場にも何ら変わりはない」と伝えた。
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安倍氏に対するアジアからの批判はこれだけにとどまりません。オーストラリア
のハワード首相は「つまらない言い訳はしてはいけない」として、安倍首相をこうた
しなめました。
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<豪首相、日慰安婦発言に「弁解するな」警告>
中央日報、2007.3.13
日本を訪問中のジョン・ハワードオーストラリア首相が第2次大戦期間、慰安婦強
制動員がなかったという日本の主張について「つまらない言い訳はしてはいけない」
と強く警告したとオーストラリアの新聞が13日、報道した。
オーストラリア日刊エイジは、ハワード首相が安倍晋三日本首相と首脳会談の前日
である12日、少なくとも慰安婦問題に対してだけは安倍首相と正面から対立すると
いう態度を確かにしたと明らかにした。
新聞はハワード首相が首脳会談で慰安婦問題を申し立てるものと予想されていると
し、日本が歴史を無視しようとする試みは決して受け入れることができないというの
がハワード首相の立場だと伝えた。
安倍首相は、米国下院が慰安婦問題に対して日本が歴史的な責任を負わなければな
らないと促したのに対して日本政府や軍部が慰安婦を強制動員した証拠がないという
発言をして被害当事者と関連国たちの憤りを買った。安倍首相はその同じ論理の延長
線上で、慰安婦の女性たちに対して公式的な謝罪もできないとして拒否している。
ハワード首相は「過去の出来事に対してつまらない言い訳はしてはならないこと」
とし「強制動員がなかったという主張は、私としては絶対に受け入れることができな
いことであり、他の同盟国たちも絶対に受け入れることができない主張」と強調した
(注4)。
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まだまだあります。日本の戦争による被害国である台湾は、日本に公式な謝罪と
賠償を次のように要求しました。
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「慰安婦:台湾政府、日本に謝罪と賠償求める」
朝鮮日報、2007.3.23
台湾政府が旧日本軍の「従軍慰安婦」の問題に関し、日本側に公式な謝罪と賠償を
改めて求めたと、台湾紙・東森新聞報が23日付で報じた。
同紙によると、台湾外務省の楊子葆政務次官は22日、日本と台湾の橋渡し役を担う
「交流協会」台北事務所の伊藤康一総務部長を呼び、台湾政府のこうした方針を伝え
た。
楊政務次官は「日本政府が歴史的な事実を直視し、元従軍慰安婦に対する正式な謝
罪と国家賠償を行ってほしい」と強く求めた。
これに対し伊藤総務部長は、安倍晋三首相の国会での答弁について触れ、従軍慰安
婦問題に関して日本政府は、1993年のいわゆる「河野談話」で示した謝罪と反省の気
持ちを持ち続けているとして、理解を求めた。
台湾外務省はまた、従軍慰安婦問題について、「過去の日本の侵略戦争が残した未
解決の問題」だとし、「被害者らが受けた心の傷はいまだ癒えていない。日本政府は
人道・人権擁護の観点から、相応の責任を取り解決していかねばならない」と強調し
た(注5)。
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安倍首相は北朝鮮の拉致問題に熱心なのと同じくらいの情熱をそそいで、戦時中
に強制連行され、悲惨な屈辱を強いられてきた「慰安婦」問題の抜本的な解決に当る
べきです。「慰安婦」問題を置き去りにして拉致問題だけを云々する姿勢はダブルス
タンダードであり、世界から信頼されるはずがありません。ワシントンポストは、つ
いに「安倍首相の二枚舌」とまで言いきりました。
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「安倍晋三の二枚舌」
「安倍は北朝鮮による日本人犠牲者問題には熱心だが、日本自身の戦争犯罪には目を
閉ざしている」
ワシントンポスト社説、2007.3.24
(前略)
(拉致問題)一本槍の政策は、国内で落ち込む支持の回復のため、13才の少女など
の拉致被害者を利用する安倍首相によって、高い道義性を持つ問題として描かれてい
る
安倍首相は、拉致問題に関するピョンヤンの引き延ばし作戦に対し、たしかに不満
をいう権利がある。その一方で、第二次世界大戦に数十万人の女性を拉致し、強姦
し、性の奴隷にした責任を軽くしようとする彼の思惑は奇妙で不愉快である。
アメリカ下院で「慰安婦」への公式謝罪を求める決議案に対し、彼は今月に入って
二度も声明をだし、日本軍が女性の拉致に関与したことを証明する記録はなかったと
述べた。先週末に閣議決定された声明書は、1993年にいわゆる「慰安婦」に対する日
本の野蛮な扱いを認めた政府発表から後退したものであった。
拉致問題の歴史的な記録は、北朝鮮が日本人を誘拐し、教師や翻訳家などに仕立て
たことを立証している。その一方、歴史家は20万人が朝鮮や中国、フィリッピン、
あるいは他のアジア諸国から日本軍の関与により拉致され、性奴隷にされたと述べて
いる。
そうした体系下で生き残った多くの人は自分の悲惨な体験を語っている。最近、そ
のうちの3人はそれを下院で証言した。
日本政府は犠牲者に補償をわずかしか支払わず、責任を充分はたさず、安倍首相が
先の声明から後退するようでは、民主主義大国のリーダーとしては不名誉なことであ
る。
安倍氏は、日本政府が強制連行に直接かかわったことを否定することで北朝鮮に回
答を要求する際に道徳的権威を高められると考えているのかも知れない。しかし、そ
れは逆である。もし、安倍首相は、拉致された日本人の消息を知るのに国際的な支持
を得ようとするなら、安倍首相は日本自身の犯罪に関する責任を率直に受け入れ、か
れが誹謗した犠牲者に謝罪しなければならない(注6)。
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安倍首相の「狭義の強制連行」発言が導火線になり、「慰安婦」問題に関するか
ぎり、日本は四面楚歌になってしまったようです。これから脱するためにも、日本は
河野談話を忠実に実行すべきです。
(注1)朝日新聞記事「安倍政権研究」2007.3.24
(注2)日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会『歴史教科書への疑問』展転社,
P448,1997
(注3)朝日新聞記事「言葉遊びだめ」2007.3.24
(注4)
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=85420&servcode=200§cod
e=200
(注5)
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2007/03/23/20070323000009.html
(注6)
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/03/23/AR2007032301
640.html
(半月城通信)http://www.han.org/a/half-moon/
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