[AML 3725] 山下清が放浪した理由

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2005年 9月 19日 (月) 09:48:48 JST


 坂井貴司です。
 
 「裸の大将」・「日本のゴッホ」と呼ばれた画家山下清氏は、太平洋戦争中に
八幡学園を飛び出して、全国を放浪しました。その理由を山下氏は
 
 「兵隊にされるのが怖かったので放浪しました」

と自伝に述べています。

 山下氏は知的障害者であったために兵役を免除されていました。ですから、そ
のような心配をする必要はなかったと言われています。
 
 ところが、最近の調査で、480人以上の知的障害者が陸軍兵士として徴兵さ
れ、戦場に送られていたことが分かりました。山下氏の恐怖は、杞憂ではなかっ
たのです。場合によっては、彼も兵士にされていたかもしれません。
 
 さらに、戦場に送られ症状が悪化した知的障害の兵士たちは、「もともと不適
格だった」と恩給や補償の対象外にされているとのことです。
 
 知的障害者も兵士にさせられていたことを伝える毎日新聞の記事です。
 
 (ここから。HPアドレスのみ転送・転載歓迎)
 
<旧陸軍>知的障害者も徴兵 大戦中、480人以上
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050919-00000009-mai-soci


 日中戦争から太平洋戦争にかけ、本来徴兵を免除される知的障害者が多数、陸
軍に入隊させられていたことが、清水寛・埼玉大名誉教授(障害児教育学)の調
査で分かった。戦地から本土の病院に送還された兵士のうち、少なくとも484
人をカルテの分析で確認した。兵力不足が深刻になった戦争末期に近づくにつれ、
徴兵されるケースが急増。ほかに戦死者も多数いたとみられ、清水名誉教授はさ
らに多くの知的障害者が徴兵されたとみている。戦地で精神疾患を発症した例も
多かったが、恩給や補償の対象外にされたことも判明した。【鵜塚健】

 ◇末期ほど増加、恩給も対象外…埼玉大名誉教授が調査「国は補償検討を」

 極限状態のなか、戦地では精神疾患を発症する兵士が多数発生。こうした兵士
のほとんどは、国府台陸軍病院(現・国立精神・神経センター国府台病院、千葉
県市川市)に収容され、1937〜45年度に1万人以上が入院した。
 清水名誉教授は、同病院が保存する8002人分のカルテ(病床日誌)を5年
がかりで分析。このうち徴兵検査時に知的障害があったとみられる兵士が484
人(6%)いたことが判明した。

 入院した時期で分けると、37年度は4人だったが、戦争末期の44年度には
157人、45年度は81人となっていた。ほとんどが入隊後数カ月以内で病院
に収容されており、終戦間際になるほど、より重度の障害者が増えていた。

 当時の兵役法では「疾病其ノ他身体又ハ精神ノ異常」がある人は「兵役ヲ免除
ス」と規定している。清水名誉教授によると、当時の解釈だと知的障害者もこの
規定による免除の対象となるが、戦争末期には兵士が不足し、徴兵が急増したと
みられる。

 一方、戦地で身体的、精神的傷病を負った兵士には、恩給や療養費が支給され
る。しかし、知的障害の兵士の場合、大半が戦地で新たな精神疾患を発症するな
どしていたにもかかわらず、もともと障害を抱えて入隊したとみなされ、恩給や
補償の対象外とされた。

 清水名誉教授は「戦死した例も多数あるとみられ、把握できた知的障害者は一
部だろう。法を無視して徴兵されたうえ、戦地で加わった疾患で、戦後も苦難を
味わったはず。今からでも国が調査し、補償を検討すべきだ」と話している。
【鵜塚健】

      ■         ■

 ◇弱者を襲う戦場の過酷…派遣後、症状さらに悪化、「死ぬ方がいい」と脱走
も

 本来兵役を免除されるべき多くの弱者が戦地に駆り出されていた。想像を絶す
る戦場で、新たな疾患を発症した知的障害の兵士たちは補償も受られずにいる。
調査した清水名誉教授は「国の事情で兵士として戦場に送り込まれ、戦地で役立
たないとわかると『もともと不適格だった』と切り捨てられた」と憤る。

 清水名誉教授が調べた8000人を超えるカルテには、1人あたり数十枚の記
録が綴じられ、入隊後の経過、身体や知能の検査過程などが詳しく記録されてい
た。

 千葉県出身のある男性は1942年1月、20歳で召集され、陸軍一等兵とし
て中国河北省の戦地に送られた。しかし軍隊での行動に適応できず、43年3月
に千葉県の国府台陸軍病院に送られた。

 カルテによると、男性は「算数力ハ零ニ等シ」と診断され、精神年齢は6歳8
カ月とされたという。最終的に重度の知的障害と診断され、3カ月後に同病院を
退院した。戦地に派遣されてから精神のバランスを崩したとみられ、カルテには
「症状増悪」などと書かれていた。男性の精神状態が戦地で悪化した様子が詳細
に残されていたが、国はもともと障害があったとして、恩給の対象と認定しなか
った。

 茨城県出身の男性は20歳で徴兵されたが、入隊後に脱走をしたとして問題に。
同病院に送られ、知的障害があると診断された。カルテに書かれた男性の聞き書
きには「点呼に立つのが恐ろしい。夜になると皆がたたいたりするから」という
記述もあった。本人の手記も添えられ、「兵隊が嫌になってしまった。死んだ方
がよいと思って抜け出しました」とつづられていた。

 清水名誉教授は「戦争は一番弱い者に対して最もむごい仕打ちをする。その現
実を若い人たちにも伝えたい」と話した。

(毎日新聞) - 9月19日 
 
(ここまで)

坂井貴司
福岡県柳川市
E-mail:suikyounomizu at cnc.megax.ne.jp
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