[AML 1380] 憲法記念日、各紙論調のご紹介です

NEZU tomohiko nezoo at k2.dion.ne.jp
2005年 5月 4日 (水) 00:01:37 JST


<要旨>
1.憲法、前口上
2.全国紙の論調
3.そのほかの新聞論調


 京都在住の根津朝彦と申します。憲法記念日の各紙論調のアンソロジーのようなものを即席でまとめてみましたので、投稿させていただきます。

 朝日と毎日には市民意見広告運動( http://www.ikenkoukoku.jp/ )の意見広告が全面掲載され励まされる思いがしました。

(重複された方、深くお詫びいたします。駄文ですが、全て転送大歓迎ですので、よろしくお願いします)


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【1】憲法、前口上


★ジャン・ユンカーマン監督『映画 日本国憲法』( http://cine.co.jp/kenpo/)

 毎日新聞の「ひと」欄でも紹介されていましたが、ドキュメンタリー映画『チョムスキー9.11』で記憶に新しいユンカーマン監督の新作です。

 ジョン・ダワー、ノーム・チョムスキー、日高六郎、ダグラス・ラミス、韓洪九など多くの人たちのコメントが寄せられ、見られる日を心待ちにしています。


★9Love ( http://www.9love.org/ )

 「背番号9で歩こう」( http://www.janjan.jp/area/0505/0505020538/1.php )という下記のJanJanの記事で知ったのですが、9Loveという活動は鮮やかなインパクトがあり楽しそうです。

 「「9Love」というキャンペーンがある。憲法9条の条文を様々な言語で表記したり、著名人やアーティストに平和のメッセージや作品をもらってTシャツを作ったり、9をかたどったパンやクッキーを作って、生活の中から憲法9条の大切さを伝えている。」



【2】全国紙の論調

 全国紙の社説は、産経新聞の社説(主張)欄( http://www.sankei.co.jp/news/editoria.htm )で簡単に見比べられます。

 そもそも5月3日の朝日の世論調査でも、いま政治家に取り組んでほしいことを2つまで聞いた項目では、上位から「景気回復54%、社会保障36%、教育改革23%」で、下位は「地方分権3%、情報公開4%、憲法改正7%」(「その他・答えない」4%)という結果で、優先順位としてはるかに低い位置づけであることが察せられます。


●朝日新聞 「世直し気分と歴史の重さ 改憲論議を考える」         http://www.asahi.com/paper/editorial.html

●読売新聞 「[憲法記念日]「新憲法へと向かう歴史の流れ」」 
  http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20050502ig90.htm

●毎日新聞 「憲法記念日 改憲への原則3点を確認する」
  http://www.mainichi-msn.co.jp/column/shasetsu/


 各紙気になったところだけ抜粋してご紹介します。まず毎日新聞が各紙の論調を簡略にまとめてくれています。


◆毎日新聞より http://www.mainichi-msn.co.jp/column/shasetsu/

「衆議院の最終報告に対して朝日新聞は「集約することの難しさ」と判定、これではたたき台でもない、政党が自らの案をまとめよと注文、改正に前向きな姿勢を見せた。

 改正を社是にする読売新聞は「時代は新憲法へと動いている」と認定した。それは希望であって現状分析ではないのではないか。

 産経新聞はこの報告がたたき台になる、国のゆがみの是正が急務だと歯がゆさを出した。日経新聞は改憲を無理に遅らせるなと屈折した促進をしている。

 毎日新聞は、論点は絞られてきたが、当初の憲法改正への情熱はどうみてもしぼんでしまい、このままなら実際に改正はできない、政治にそのエネルギーがないとみている。」(改行だけ引用者)


「義務が少ないといわれる点。憲法はそもそも歴史的に独断専行する権力に対する民の防御壁である。権力を縛り付けるのが目的なのであって、国民側が自らの義務を宣言する性格の法律ではない。大衆迎合の政治も同じである。大衆のエゴから少数派を守り、あるいはエゴの暴挙による政治から正義を守るのが憲法である。

 それでも義務を課すなら、二院制、議院内閣制、地方自治、首相公選などの統治機構は全面的に権力の都合から作るのでなく、国民の都合に合わせて再構成されなければ不公平になる。凛(りん)としない政権のだらしなさを棚に上げ、国民の義務を増やすべきだとの発想は受け入れられることではない。」


◆朝日新聞より http://www.asahi.com/paper/editorial.html

「憲法をゼミで学ぶ大学生はこう言った。「護憲ってダサいし、就職にも不利っぽいかも」」

「朝日新聞の世論調査で「改憲」という言葉のイメージを聞いたところ、「現実的」29%、「未来志向」28%と肯定的な意見が多く、かつての改憲につきものだった「復古的」というイメージを答えた人は8%に過ぎなかった。」

「しかも、国会議員が永田町で熱くなっているほど世論の関心は高くない。 

 朝日新聞の調査では、憲法調査会のことを「知らない」人が71%だ。最終報告書の内容を「知っている」人となると3%に過ぎない。焦点の9条改正には慎重な声が多い。むしろ世論の関心は環境権やプライバシーなどいわゆる新しい人権の方にあった。政治家と世論の間には大きなずれがある。 」

「しかし、9条の平和主義は、過去の過ちは繰り返さないという日本の不戦の証しでもある。これがあるからこそ、和解への取り組みが不十分でもなんとかやってこられた。もし9条を変えるのなら、その前にきちんとしておくべきことがあるのではないか。 」

「ところが日本ではいま、過去を正当化しようとする議論がまかり通る。A級戦犯を合祀(ごうし)した靖国神社に小泉首相は参拝を続け、それが近隣諸国の不信を招いている。その一方で9条まで変える、まして堂々と軍隊を持つとなれば、さらに不信をふくらませかねない。 」

「憲法を改めることで暮らしよい世の中になり、日本が国際的にも尊敬されるなら拒む理由はない。政治に求められるのは、単なる世直しムードを超えて、改憲することの利害得失を大きな視野で見極めることである。」


◆読売新聞より   http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20050502ig90.htm

「憲法改正をめぐる今日の状況を、つい10年ほど前まで、だれが予測しえただろうか。 

 憲法改正論議は、戦後の保革対決の下で、長くタブー視されてきた。読売新聞が1994年に発表した憲法改正試案は、その封印を解こうとする挑戦だった。」

「当時は、憲法調査会を設置し、議論することにすら反対する勢力が、政党にもメディアにも、なお少なくなかった。今やそんな勢力は見当たらない。」

「国民の憲法意識は大きく変わった。読売新聞の世論調査では、憲法改正に賛成の国民が6割を超えている。 

 10年前には考えられなかったことだ。94年試案以降、読売新聞が、時代の変化を見据えて、憲法問題を提起してきたことは正しかった、と自負している。 

 今後、衆参両院で、憲法改正の手続きを定める国民投票法案の成立を目指すことになるだろう。憲法改正の環境は整いつつある。もはや、新憲法への、歴史の流れを逆流させることは出来ない。」


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 全体として、朝日と毎日すら屹立した論説とは言い難く、なし崩し的な印象を受けます。朝日は「憲法を改めることで暮らしよい世の中になり、日本が国際的にも尊敬されるなら拒む理由はない」と断言しています。一見もっともらしく聞こえますが、いまの与党と民主党が席巻する政治状況の中で、権力をコントロールする国の最高法規について、あまりに軽い思考ではないかと感じます。

 読売は「自画自賛」的な強弁ですが、朝日と毎日と比べると、社説上では前日の社説含め( http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20050501ig90.htm )焦点の9条について何の言及もしていません。何となくの改憲ムードは世論調査にあらわれているとはいえ、9条支持の意見は根強く、誘導説の感がぬぐえません。

 そういったピリッとしない状況の中で、『朝日新聞』(2005年5月3日)の「憲法総点検インタビュー上」での樋口陽一さん(憲法学者)のコメントは、上記3紙の論調を点検する上でも本質をついています。

「憲法を論じている人の間にも、大きな勘違いがあると思う。改憲とは、最高度の政治選択のはず。特定の国内・国際状況の中で、ある提案をした場合に、どのような案が通り、それが、それ以後の世の中をどう変えていくのかを議論することです。サロンにすわって理想の憲法論を開陳し合うことではない」

「もし、歴史問題や国内の人権問題に取り組みながら改憲論を進めるというのならば、私個人はそれでも改憲には賛成しないだろうが、それは尊重すべき改憲論だと思う。しかし、そういう改憲論がほとんど出てきていない。」

「日本の扉をたたいてひしめいている難民や亡命を求める人々に冷淡なまま、他国の人道人権問題には自衛隊が行きますよ、というのは、あまりにも説得力がないではありませんか」



【3】そのほかの新聞論調

 共同通信社サイト( http://www.kyodo.co.jp/ )の中段ほどにある「加盟新聞社のサイト」から全国紙以外の論調もくまなく見ることができます。

 どこも全国紙より歯切れのいい論を展開しています。京都新聞の社説は「九条の会」( http://www.9-jo.jp/ )についても言及していました。ザッと目についたものだけ題名をあげさせていただきます。

●中日新聞 「見過ごせぬ“戦後”否定」 http://www.chunichi.co.jp/sha/index.shtml

●北海道新聞 「いま、憲法を考える(下)*「権利」は「義務」の対価か」
  http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?j=0032

●河北新報 「憲法記念日/「平和主義」をいかに貫くか」
  http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2005/05/20050503s01.htm

●沖縄タイムス 「【揺れる憲法】平和主義こそ国の礎だ 」
  http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20050503.html#no_1

●琉球新報 「憲法の危機・「戦力不保持」は平和主義の要 見直す理由が見あたらない」(5/2)
  http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-1839-storytopic-11.html


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 長い文章に最後まで目を通していただいた方、どうもありがとうございました。
 


 根津朝彦
nezoo at k2.dion.ne.jp



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